ドリッパーで味が変わる!?プロが教えるドリッパーの選び方

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こんにちは、日本バリスタ協会公認のバリスタ、にっしーと申します。

さて、今回取り上げるのはドリッパーです。

数ある抽出器具の中でも、家庭で気軽に始められて人気が高いのがドリップコーヒーです。

自宅でこだわりコーヒーと聞くと、これをイメージされる方も多いのではないでしょうか?

さて、そんなドリップコーヒーの必需品であるドリッパーですが、次々と新しいものが開発され、その種類はとても多くなってきています。

しかし、実は分類するとたった3種類に分けることが出来ることをご存じでしたか?

その種類によって、作れるコーヒーの特徴や淹れ方が決まって来るんですよ。

ここでは、家庭でコーヒーを楽しみたい方に向けて、代表的なドリッパーの特徴や選び方を紹介していきます。

あなたにピッタリのドリッパーを見つけて、素敵なコーヒーライフを送りましょう!

ドリッパーとは

ドリッパーの種類

ドリッパーには大きく分けて「台形式」と「円錐えんすい式」があります。

見分け方はとても簡単で、横から見たときの形が台形か円錐かで分類します。

カリタ横図
台形型ドリッパー
HARIO V60 01 ドリッパー
円すい型ドリッパー

また、使用するフィルターの形でも判断できます。

台形式で使用するフィルターは文字通り台形、円錐式は扇形をしています。

台形ドリッパー用ペーパーフィルター
台形ドリッパー用フィルター
円すい型ドリッパー用ペーパーフィルター
円すい形ドリッパー用フィルター

さて、現在多くのドリッパーが販売されていますが、おおむね「台形式」「円錐式」に分けることができます。以下はその一例です。

台形式メリタ、カリタ、bonmac
円錐式ハリオ、KONO、ORIGAMI、bonmac、KINTO、ケメックス

 

今回はその中でも代表的なドリッパーである「メリタ」「カリタ」「ハリオ」について取り上げたいと思います。

市販のドリッパーの多くは、この3つのいずれかに似た形状をしています。

形状が似ると特徴も似てくるので、これら3つを押さえておけば大丈夫です!

メリタドリッパーの特徴

Melittaドリッパー側面
Melittaドリッパー上図

メリタのドリッパーは台形式です。

最大の特徴は、底の部分に直径4mmほどの穴が1つだけ空いていることです。

あえて穴を小さく少なくすることでお湯を抜けにくくし、ドリッパー内に湯だまりを作り、コーヒーの粉をお湯に浸けるような形でコーヒーを抽出します。

ちなみに、このような抽出方法を専門用語で「浸漬(しんし)抽出」と言います。

メリタは味が安定しやすく、抽出手順も簡単なので、初心者の方におすすめですよ。

カリタドリッパーの特徴

Kalitaドリッパー側面
Kalitaドリッパー上図

カリタのドリッパーも台形式です。

少しわかりにくいですが、写真の赤丸部に直径3mmほどの穴が3つ空いています。

穴が3つあるため、メリタに比べお湯の抜けがよいのが特徴です。

そのため、湯だまりを作らず、コーヒーの層をお湯が通り抜ける際に成分を抽出します。

このような抽出方法を「透過(とうか)抽出」と呼びます。

カリタはお湯を注ぐスピードを変えることで、スッキリ~濃厚まで様々な味を作り出すことができます。

慣れると「その日の気分に合わせて味を調節する」なんてこともできるようになります。

一方で、安定した味を出すには少々練習が必要なので、中級者向けと言えるでしょう。

ハリオドリッパーの特徴

HARIO V60 側面
HARIO V60 上図

ハリオのドリッパーは円錐式です。

こちらも「透過抽出」を行うドリッパーです。

最大の特徴は、直径2cmほどの大きな穴が1つ空いていることです。

穴が大きくお湯の抜けが良いため、お湯を注ぐスピードをこちらでしっかりコントロールしてあげる必要があります。

これにより、カリタに比べより幅広くスッキリ~濃厚な味を作り出すことができます。

熟練者になれば、ピンポイントに狙った味を出すこともできるようになりますよ。

ドリップする人の技量がダイレクトに味に反映されるため、上級者向けと言えるでしょう。

ドリッパーの選び方

ドリップコーヒーの味を決める要素

ドリッパーを選ぶうえで、事前に知っておいていただきたいことがあります。

それは、ドリップコーヒーの味に大きな影響を与える「ある要素」についてです。

その「ある要素」とはズバリ「注湯スピード」です。

「注湯スピード」とは、文字通り「コーヒーの粉にお湯を注ぐ速さ」のことです。

この要素はドリップコーヒーとは切っても切れない関係があります。

結論から言うと、

注湯スピードが遅いほどコーヒーは濃厚な味わいとなり

注湯スピードが速いほどコーヒーはすっきりとした味わいになります。

なぜかと言うと、

ゆっくりとお湯を注いだ場合、粉の中をゆっくりとお湯が通り抜けていきますよね。

そうすると、お湯の中にはコーヒーの成分がたくさん溶け出します。

逆に、速くお湯を注ぐと、粉の中を素早くお湯が通り過ぎていきますね。

そうなると、コーヒーの成分がたくさん溶け出す前にお湯が通り過ぎてしまいます。

つまりドリップコーヒーは、

注湯スピードを変えることよって、好みの味を作り出すことができるのです。

そして、ドリッパーによって、その”作り出せる味の幅”が変わってきます。

例えば、カリタドリッパーは、注湯スピードの速い・遅いにかかわらず、
ほぼ一定の味に仕上げてくれます。

いつでも一定の味を楽しめるわけですから、作り出せる味の幅は狭いと言えます。

逆に、ハリオドリッパーは注湯スピードの違いが、味に大きく反映されます。

注湯スピードをコントロールすることで、濃厚~すっきりまで様々な味が出せますから、
作り出せる味の幅は広いと言えるでしょう。

ここまで読むと「じゃあ色々な味が作れるドリッパーの方が便利じゃん!」
と思う方もいるかもしれませんね。

それは決して間違いではありませんが、“作り出せる味の幅”が広くなるほど
作り手には高い「注湯をコントロールする技術」が求められます。

このことは念頭に置いておきましょう!

ドリッパーの選び方

ここまでで、ドリッパーにはそれぞれ「作り出せる味の幅」と「求められる注湯技術」があることを紹介しました。

ここで一度ドリッパーごとに情報を整理してみましょう。

ドリッパー味の幅難易度対象
メリタ狭い簡単初級者向け
カリタ広い普通中級者向け
ハリオ非常に広い難しい上級者向け

 

このようになります。

わかりやすいように抽出の難易度も合わせて書いてみました。

さて、お分かりの通りどのドリッパーも一長一短で、どれが一番いいかはなかなか決められません。

そこで、ここでは目的やシーンに合わせてオススメのドリッパーをまとめたいと思います。

あなたの利用シーンを思い浮かべて選んでみてください!

〇手軽にいつものおいしいコーヒーを楽しみたいあなたにはメリタ!

抽出手順が簡単なので、「おいしいコーヒーは飲みたいけど、あんまり時間はかけたくないな」という人にはピッタリ。

また、味がブレにくいカリタはいつもの味を作るのが大得意!
「この前と何か味が違うな・・・」なんてことも起こりにくいです。

また、まだドリップに慣れていないビギナーのひとでも安定して抽出できるので、初心者の人にもおすすめですよ。

その日の気分に合わせてコーヒーを淹れたいあなたにはカリタ!

カリタは入れ方次第で様々な味を作りだすことができます!

「朝はすっきりめのコーヒーにしよう」とか「今日はケーキに合わせて濃いめにしよう」などその時のスタイルに合わせて自由自在です。

慣れないうちは「この前と味が違うな・・・」なんてこともありますが、
その違いもコーヒーの魅力の一つだと思って楽しみましょう!

ちょっとドリップに慣れてきたひとのステップアップにも最適ですよ。

理想のコーヒーを探求したい!そんなあなたにはハリオ!

使いこなすのは難しいですが、非常に幅広い味を作りだすことができます。

ドリップを極めたい!という方にはこれ一択ですね。

慣れるまでは、淹れるたびに味が変わるのが当たり前だと思ってください。笑

無限とも言えるコーヒーの大海原から、理想の一杯を見つけたい、その過程すら楽しめるあなたなら、きっと使いこなせるようになるでしょう!

補足:ドリッパーの材質について

現在、市販されているドリッパーの多くは、

「プラスチック」「陶器」「金属」のいずれかの材質でできています。

材質によって熱伝導率や保温性などが異なり、コーヒーの味に影響を与えると言われています。

確かにその通りなのですが、家庭で楽しむうえでは、その影響は微々たるものです。

なので、材質を選ぶ際はデザイン性や価格を優先して考えて大丈夫です。

まとめ

では最後に、今回のポイントをまとめます。

以下のポイントを押さえて、自分にピッタリのドリッパーを見つけましょう!

POINT!!
  • ドリッパーは大きく分けて「台形式」と「円錐式」がある
  • ドリッパーの形状は大きく3つに大別できる

メリタ型:台形式で小さな穴が1つ
カリタ型:台形式で小さな穴が3つ
ハリオ型:円錐式で大きな穴が1つ

市販のドリッパーは上記3つのどれかに類似した形状をしている。
同時に、形状が類似するとドリッパーが持つ特徴も類似する。

  • ドリップコーヒーは注湯スピードで味を変えられる
    そして、ドリッパーごとに出せる味の幅が異なる

    ドリッパー味の幅必要注湯技術抽出難易度
    メリタ狭い低い初級者向け
    カリタ広い高い中級者向け
    ハリオ非常に広い非常に高い上級者向け
  • メリタ→カリタ→ハリオと慣れていくのが堅実だが、シーン別に選んでもよい
  • 材質はデザイン性やコストを重視して選んでよい


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ABOUT US
にっしー
日本バリスタ協会(JBA)の公認バリスタ。同協会の認定資格で「最高位」にあたるJBA Barista License Level 3 を取得。お店でコーヒーを淹れるかたわら、専門学校で後進への指導もさせてもらっています。 元システムエンジニア→軽く鬱になり退職→30歳にしてバリスタへの転身を決意→食の専門校レコールバンタン入学・卒業→バリスタ兼ブロガーとして『あなたをコーヒーのとりこ』にするための情報を発信しています!