こんにちは、日本バリスタ協会公認のバリスタ、にっしーと申します。
今回取り上げるのは「バリスタ」という職業についてです。
皆さんもバリスタという名前は耳にしたことがありますよね。
なんとなく「コーヒーの専門家」というイメージがあるかと思いますが、
本来の意味は少しニュアンスが違ったりします。
そこで、ここでは本職がバリスタである私が、
「バリスタって何をする人なの?」という疑問について、少し解説させて頂ければと思います。
もし、これを読んでいる中にバリスタに興味をお持ちの方がいらっしゃれば軽い読み物として見て頂けると幸いです。
バリスタを辞書で引いてみよう
月並みではありますが、まずは辞書を引いてみることにしましょう。
barista
英辞郎 on the WEB
〈イタリア語〉バーテンダー◆【語源】bar(バー)+ -ista(サービスを提供する人)◆コーヒーを入れたり、ジュースを作ったりする人。
〈イタリア語〉バリスタ◆カフェでエスプレッソコーヒーをつくる専門職人。
barista
goo辞書
[名]バリスタ(◇喫茶店でコーヒーを作るバーテンダー)
語源〈イタリア〉
調べてみるといろいろな意味が出てきました。
言語としては、どうやらイタリア語のようですね。
意味を見てみると「バーテンダー」「コーヒーを作る人」「エスプレッソの専門職人」。。。
さらには「ジュースを作る人」というのもありますね!
こういう切り口は私も初めて見ました 。:)
さて、様々な意味が出てきましたが「どれが正しいの?」と思ってしまいますよね。
実は、、、全て正解です◎
つまり、バリスタとは
バーテンダーであり、コーヒーを作る人であり、エスプレッソ職人であり、ジュースを作る人です。
意味不明ですね。
なぜこんなに意味不明になってしまうのか。
それを理解するためにはイタリアという国の文化について知る必要があります。
イタリア人の憩いの場 BAR(バール)とコーヒー文化
イタリアにはBAR(バール)という業態のお店があります。
日本でいうところの「レストラン」とか「居酒屋」のようなくくりで「バール」というカテゴリが存在します。
どのようなお店かというと、
飲み物や軽食、アルコール類などを気軽に楽しむことが出来る喫茶店のようなお店です。
中にはちょっとした雑貨類を販売しているお店もあります。
イタリアでは、そういったバールというお店が広く普及しており、
日本のコンビニがあるような感覚で、街のいたるところで見かけることができます。
そしてイタリアの方はそういったお店を頻繁に利用します。
例えば、朝出勤前にバール立ち寄ってコーヒーとパンを食べ、
昼食後にバールでコーヒーを飲み、
仕事終わりにバールで軽くアルコールと食事をつまんで帰る。
といった具合です。そういった文化が根付いているということですね。
そして、そういったお店で働いている人のことを現地ではBaristaと呼びます。
イタリア語では「~する人」を表す際に語尾に”ista”を付けます。
「バールで働く人」なので”Bar + ista”でBarista (=バリスタ)というわけです!
由来を知ると、なるほど!という感じですよね。
これをきっかけに少しでもバリスタに親近感を持ってもらえると嬉しいです!
さて、ここでもう一つ知っておきたいイタリアの文化があります。
それは「コーヒー」という言葉の持つ意味の違いです。
イタリア語の辞書で「コーヒー」という言葉を調べると ” caffè (カッフェ) “という単語が出てきます。
しかし、この言葉には落とし穴があります。
日本のお店で「コーヒーをください」というと、「ドリップコーヒー」が出てきますよね。
しかし、イタリアで「caffèをください」というと、なんと「エスプレッソ」が出てきます。
つまり、イタリアでは「コーヒー = エスプレッソ」という文化があるということです。
日本と同じ感覚で頼むと、全然違うものが出てきますのでご注意ください!
ちなみに、我々の思うコーヒーを飲みたいときは ” caffè americano ( カッフェ アメリカーノ) ” と注文すると良いですよ。
エスプレッソをお湯で割った、日本のコーヒーに近いドリングを作ってくれます。
さて、ここまでで二つの文化を紹介してきました。
これで、意味不明だった辞書の謎が解けてきましたね。
バールという業態であるからこそ、バリスタは
「バーテンダーであり、コーヒーを作る人であり、ジュースを作る人」になるわけです。
そして、そこで淹れられるコーヒーとはエスプレッソのことです。
つまり、「エスプレッソの専門職人」ということですね。
個人的には、さらに付け加えておきたい要素があります。
それは「接客のスペシャリストである」ということです。
イタリアのバールには、ほぼ必ず「バンコ」と呼ばれる立ち飲み用のカウンター席があります。
多くの人たちがこの席を利用し、コーヒーや会話を楽しみます。
また注文の仕方も独特で、「エスプレッソ濃いめにして!」とか「カプチーノぬるめで!」など、みんなかなり自由な注文します。
そのため、バリスタにはコーヒーのスキルはもちろんのこと、気配り・目配りや会話力、所作の美しさなど、様々な要素が求められます。
おいしいコーヒーを淹れながらも相手を楽しませる心配りを忘れない。
それこそがバリスタだと個人的には思っています。
もし、お店でバリスタさんを見かけることがあったら、そういった部分も注目してみてください!
さて、ここまでで本来の意味のBaristaについて、ざっくりと理解して頂けたかと思います。
最後は視点変えて、日本におけるバリスタについて少しみていきたいと思います。
日本におけるバリスタ
日本におけるバリスタは、本来の意味とは少しニュアンスが変わってきます。
そもそも日本にはBARという文化がないので当然ですね。
これは私の主観的なイメージですが、
本来の意味では「エスプレッソの専門家であり、BARで働くスペシャリスト」というイメージに対し、
日本におけるバリスタは、より「コーヒー全般の専門家」という色が強い印象です。
日本では、エスプレッソ以外にもたくさんの淹れ方が普及しています。
そのため、エスプレッソだけではなく、その他多くのコーヒーに関する知識やスキルが必要になってきます。
そういった点が、より「コーヒーの専門家」というイメージを強くしているのかもしれませんね。
さて、ここまでバリスタについてお話をしてきました。
少し話は変わりますが、皆さんは街のカフェなどでバリスタを見たことがありますか?
おそらく、ほとんどの方は見たことがないのではないでしょうか。
それは、バリスタの数が少ないというのもありますが、
他のスタッフと見分けがつかないというのも原因の一つかもしれません。
そこで一つ、簡単に見分けるポイントをお教えします。
それは、バッジを付けているかどうかです。
私も所属している日本バリスタ協会では、バリスタの資格試験を実施しています。
その試験に合格すると認定証と認定バッジが交付されます。
もし、カフェスタッフの中にこれを付けている人がいれば、その人は間違いなくバリスタです。
コーヒーに関するしっかりとした知識とスキルがある人なので、
コーヒーについていろいろと相談してみるのもよいかもしれませんね。
ここでひとつ注意していただきたいのは、「バッジを付けていないバリスタもたくさんいる」ということです。
この資格がないとバリスタになれないわけではないので、バッジを持っていなくても素晴らしいバリスタさんはたくさんいらっしゃいます。
なのでここでは、
- バッジを付けている人 = バリスタ
- バッジを付けていない人 = バリスタかもしれないし、そうじゃないかもしれない人
と覚えておくと良いかもしれませんね。
まとめ
さて、ここまでで「バリスタ」に関する解説をしてきました。
今まで、なんとなく理解していたバリスタという職業が、少しはクリアになったでしょうか?
これをきっかけにバリスタに興味を持っていただけたらとてもうれしいです。
また、個人差はあると思いますが、バリスタはコーヒーの話をするのが大好きな人が多いです。
お店で見かけたときは、ぜひいろいろなコーヒーの疑問をぶつけてみてください!
きっと嬉々として話してくれると思いますよ◎
では、最後に簡単なまとめを残して締めたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました!
- バリスタの語源はイタリア語で「Barで働く人」を意味する “Bar + ista” で Barista
- 本来の意味は「エスプレッソの専門家」でありBarで働くスペシャリスト
- 日本での意味は「コーヒー全般の専門家」
- バリスタはコーヒーの専門家であり、接客のスペシャリストでもある
- バリスタを見分けるポイントはバッジ