こんにちは、日本バリスタ協会公認のバリスタ、にっしーと申します。
今回取り上げるのはエアロプレスです。
このページでは、基本情報からレシピ、淹れ方、レシピのアレンジ方法までを解説しています。
エアロプレスは、空気圧を利用することで効率よくコーヒーの成分が抽出できる器具です。
そのため、他の抽出器具よりも豆本来の味を引き出しやすいと言われています。
また、その味の安定性や応用性から業界でも支持され、
今ではエアロプレス専門の世界大会まで開かれるようになりました。
まだまだハンドドリップなどと比べれば知名度は高くありませんが、
使い方がシンプルで、家庭でも簡単に風味豊かなコーヒーが淹れられます。
手順が簡単で美味しいので、私も普段飲むコーヒーはエアロプレスで淹れることが多いです。
では、その魅力を紹介していきます!
目次
エアロプレスの紹介
基本的な仕組み
冒頭で「空気圧を利用してコーヒーを抽出する」と紹介しましたが、
イメージが湧かない方も多いのではないでしょうか?
エアロプレスの仕組みを簡単に言うと、注射器と同じ構造です。
筒の中にコーヒーの粉とお湯を入れ、ピストンを押すことで、液体を外に押し出します。
筒の先には針の代わりにフィルターがついており、
フィルターが粉を取り除き、コーヒー液だけが押し出される構造になっています。
この、押し出す力によって、コーヒーの粉とお湯に圧力がかかり、効率よく成分を抽出できる仕組みです。
どうでしょう、少しイメージが湧いてきましたでしょうか?
メリットとデメリット
人にも得意・不得意があるように、エアロプレスにもメリットとデメリットがあります。
購入を検討されている方は、「こんなはずじゃなかった!」とならないようにメリットとデメリットを一緒に確認していきましょう。
- 抽出手順が簡単で、素早く安定したコーヒーを淹れられる
- 掃除が簡単でメンテナンスがしやすい
- 効率的にコーヒーの成分を抽出するため、風味が豊かになりやすい
- 作りが頑丈で、アウトドアでも安心して使用可能
最大のメリットは素早く安定したコーヒーを淹れられる点にあります。
ハンドドリップでは、約5分程度かかってしましますが、
エアロプレスであれば1~2分程度で淹れることができます。
そして、抽出方法がシンプルなので、味のブレが少なく、いつでもおいしいコーヒーを楽しむことができます。
ハンドドリップでありがちな、「お湯を入れすぎて薄くなっちゃった!」みたいな失敗がほぼ起こりません。
また、片付けも簡単なので、忙しい朝の時間帯には特に重宝しますよ。
- 一度にたくさんのコーヒーは淹れられない(マグカップ1杯分程度が限度)
- 本体価格が他の抽出器具に比べて高め
デメリットとして一番に挙げられるのは容量の小ささです。
一度に淹れられるコーヒーは最大で約220mlで、おおよそカップ1杯分が限度です。
そのため、たくさんの量を淹れる場合には、抽出を何度か繰り返す必要があります。
また、本体価格が約4,000円と他の器具に比べると初期投資額が少し高くなります。
私も初めて購入する際には少し高いと思っていましたが、実際に使ってみると、その使い勝手の良さから4,000円以上の価値があると感じるようになりました。
必要なアイテム
- コーヒー豆
粉の粗さは「中粗挽き~中細挽き」がよいとされています。
好みの粗さのものを用意しましょう。
粉の粗さがコーヒーの味に与える影響は後述[好みの味に調整するには]にて解説していますので、そちらを参考にしてください。
また、そもそもどんな豆を選んだらいいかわからない!という方は別途豆の選び方を解説したページがありますので、よかったらそちらにも目を通してみてください。
- エアロプレス
エアロプレス本体です。
Amazonでは約4,000円ほどで販売されています。(2020年12月現在)
- 専用フィルター
画像にもあるように紙製のペーパーフィルターと金属製のメタルフィルターがあります。
違いを簡単にまとめました。
[ペーパーフィルター]
・しっかりとろ過するため、すっきりとした味わいになる
・使い捨てなので片付けが楽チン
・どこでも買えるものではないので、買い足す時は少し手間がかかる
[メタルフィルター]
・コーヒーオイルが抽出液に多く残るため、香りが豊かになる
・繰り返し洗って使えるので経済的
・コーヒーにごく細かい粉が混ざり、少し粉っぽく仕上がりやすい。
- サーバー
抽出されたコーヒーを受け止める際に使用します。
ガラス製のサーバーは、抽出の時に割れてしまう可能性があります。必ず割れない素材の容器を使用してください。
- 電子はかり
コーヒーの粉やお湯の量を計るために使います。
コーヒーを押し出す際は、必ずはかりから降ろして押しましょう。
はかりの上で強く押し込むと故障してしまいます!
- 温度計
お湯の温度を計る際に使用します。
一般的なキッチン用の温度計で問題ありません。
- ストップウォッチ
携帯のストップウォッチ機能でも大丈夫です。
ドリップコーヒー用のはかりには、ストップウォッチ機能を備えたものもありますよ。
基本レシピ
- コーヒーの粉:18g
- お湯:220g( = 220ml)
ここではまず、ベースとなる基本レシピを紹介しています。
まずはこのレシピで淹れてみることをお勧めします◎
そうすると、何度か飲んでいく内に、自分の好みの味が見えてくると思います。
例えば「もっとスッキリとした飲み口の方が好きだな」とか「もう少し苦味が強い方がいいな」などがそうですね。
それらが見えてきたら、次は「好みの味に調節するには」に合わせてレシピを調整しましょう。
自分好みのオリジナルレシピが完成します!
淹れ方
冒頭にも書きましたが、ここでは「インバート式」という方法を紹介します。発売元が紹介している淹れ方とは異なりますが、現在、業界ではこちらの方が主流となっています。
それではいよいよ淹れ方を紹介していきます!
工程の中には必ず守らなければならない注意点があります。
しっかりと守って安全に楽しくおいしいコーヒーを淹れてください!
①お湯を沸かす
お湯は抽出の他、カップや器具の温めにも使うのでたっぷり沸かしましょう。
沸騰したらフィルターキャップにフィルターを乗せ軽く湯通しをします。また、サーバーとカップにもお湯を注ぎ温めておきます。
残ったお湯は抽出に使うので、温度計を入れ90℃になるまで冷まします。
②粉を入れる準備をする
内筒を1cmほど外筒に差し込みます。
写真をよく見て上下が逆さまにならないようにしてくださいね。
必ず1cm以上差し込んでください!
差し込みが甘いと内筒が外れ、やけどをする危険があります!
③外筒に粉を入れる
コーヒーの粉を18g入れます。
筒の口は意外と小さいので、付属のろうとを使うと入れやすいですよ。
④外筒にお湯を入れ30秒蒸らす
お湯が90℃まで冷めたら、粉にお湯を注ぎます。
粉全体を湿らすように100gほど注いでください。
この時、注ぎ始めると同時にストップウォッチをスタートさせます。そして、お湯を注ぎ終えたら30秒になるまでそのまま待ちましょう。
この工程を「蒸らし」と呼びます。これによって粉が開き、コーヒーのおいしさが引き出しやすくなります。
30秒たったら、パドルを使って優しく3回混ぜ、蒸らしで出てきた余分な泡をつぶしてあげます。
混ぜ終わったら残りの120gのお湯を注ぎ、お湯の合計が220gになるようにします。
⑤粉とお湯を静かに混ぜる
お湯を注ぎ終えたら、パドルを使ってもう一度やさしく混ぜ合わせます。
3回~10回程度を目安に混ぜてください。よく混ぜるとその分味もしっかり出てくれますが、雑味も出やすくなります。
⑥フィルターキャップを取り付ける
フィルターをセットしたフィルターキャップを本体に取り付けます。
キャップの出っ張りと本体のへこみが合うように取り付けてください。
フィルターキャップはしっかりと固定しましょう!
出っ張りとへこみを合わせてセットしたあと、キャップを時計回りに回すことで、初めてキャップが固定されます。
固定が甘いと中身があふれ、やけどをする危険があります!
⑦本体を反転させる
サーバーのお湯を捨て、逆さまにしてキャップの上にかぶせます。
次に片方の手で外筒と内筒の境目あたりをつかみ、筒同士が外れないように固定します。そしてもう片方の手でサーバーを持ちます。
しっかりと持ったら、上下を反転させるように全体をくるっと半回転させます。そうすると、ちょうどサーバーの上に本体がセットされた形になりますね。
反転させる際には、内筒が抜けないようにしっかりと固定しましょう!
慣れないうちはこの工程で内筒が外れ、中身がこぼれてしまうことが多いです!!
下の写真のように、内筒が抜けないようにしっかりと持ちましょう!この時、さか手で持つと回転させやすいですよ。
↓↓↓回転↓↓↓
⑧内筒を押し込みコーヒーを抽出する
20秒ほどかけて内筒を押し込み、コーヒーを抽出します。
「ジュジュッ」と空気の抜ける音がするまで押し込めば抽出完了です!
内筒を少し引き戻し、サーバーから外します。
カップを温めていたお湯を捨て、コーヒーを注いだら完成です!
ちなみに、エアロプレスは抽出カスを捨てるのも簡単です。フィルターキャップを外し、ごみ箱の上で内筒を最後まで押し込みます。すると、ぽんっとカスが押し出され、手を汚さずに捨てることができます。
ガラス製のサーバーは押し込んだ際に破損する可能性があります。必ず割れない素材の容器を使用してください。
好みの味に調整するには
さて、ここからはより好みの味に仕上げるための、レシピや淹れ方のアレンジ方法を紹介していきます。
当然と言えば当然ですが、「おいしいコーヒー」って人それぞれ違いますよね。
基本レシピのコーヒーを飲んでみて、「もっとスッキリしたコーヒーが好きだな」と感じる人もいるかもしれません。逆に「どっしりと濃厚なコーヒーの方がいいな」という方もいることでしょう。
ここでは、そのようなそれぞれの好みに合わせてたコーヒーを淹れるテクニックをご紹介します。
このポイントをおさえれば、自分にとっても、そして誰かにとってもおいしいコーヒーを淹れられるようになりますよ。
濃度感の調整
まずは「スッキリしたコーヒー」と「どっしりしたコーヒー」を淹れるためのアレンジ方法です。
- スッキリしたコーヒーを淹れるには
- 粉の量を減らす
- 蒸らし時間を短くする
- 粉の挽き目を粗くする
- ステップ⑤で混ぜる回数を少なくする
- どっしり濃厚なコーヒーを淹れるには
- 粉の量を増やす
- 蒸らし時間を長くする
- 粉の挽き目を細かくする
- ステップ⑤で混ぜる回数を多くする
以上が調整ポイントです。もう少し詳しく解説していきます。
まずは粉量ですが、粉量はあまり変えすぎるとバランスが崩れてしまいますので、基本レシピ±3g程度の範囲で調整するとうまくいきやすいですよ。
また、蒸らし時間ですが、長くしすぎると雑味が出てきてしまうので、長くても1分程度にとどめた方がいいですね。
最後に挽き目です、挽き目は細かくすればするほど味が出やすくなります。ただし、雑味も出やすくなってしまうので注意しましょう。(挽き目に関する詳細な解説はこちらから)
いくつかポイントを紹介しましたが、一度にすべてを変えるのではなく、一つ一つ変えていくと上手に調整できますよ!
苦味・酸味の調整
- 苦味のあるコーヒーにする場合
- より深煎りのコーヒー豆を使用する
- 酸味のあるコーヒーにする場合
- より浅煎りのコーヒー豆を使用する
コーヒー豆は深く煎れば苦味が強くなり、浅く煎れば酸味が強くなります。これは豆の産地にかかわらず、どの豆でも当てはまる特徴です。
煎り具合(焙煎度)は豆の色を見るとわかりやすいです。
よりこげ茶や黒に近いのが深煎りで、より明るい茶色に近い方が浅煎りです。
次に豆を購入する際は、前回と比べて深いか浅いかで考えると選びやすいですよ。
また、どの豆も深煎りになればなるほど、焦げっぽいロースト香やいぶした様なスモーク香が強くなり、風味が単調になりがちです。
それぞれの豆が持つ個性的な風味を楽しむには、浅煎りや中煎りの方が違いを感じやすいですよ。
まとめ
では最後にここまでのポイントをまとめたいと思います。
特に新しいことは書いてありませんので、頭の中の整理などにお役立てください!
それでは、最後までお読みいただきありがとうございました。皆さんの素敵なコーヒーライフの助けとなれば幸いです!
◆エアロプレスのメリット◆
- 抽出手順が簡単で、素早く安定したコーヒーを淹れられる
- 掃除が簡単でメンテナンスがしやすい
- 効率的にコーヒーの成分を抽出するため、風味が豊かになりやすい
- 作りが頑丈で、アウトドアでも安心して使用可能
◆エアロプレスのデメリット◆
- 一度にたくさんのコーヒーは淹れられない(マグカップ1杯分程度が限度)
- 本体価格が他の抽出器具に比べて高め
◆必要なアイテム◆
- コーヒー豆
- エアロプレス本体
- フィルター
- サーバー
- 電子はかり
- 温度計
- ストップウォッチ
◆基本レシピと淹れ方◆
- コーヒーの粉:18g
- お湯:220g( = 220ml)
- 内筒のゴムの部分を外筒に1cm以上差し込み、内筒を下にして立てる。
- ろうとを使い、外筒の中にコーヒーの粉を18g入れる。
- ろうとを外し、外筒の中にお湯を合計100g注ぎ、30秒蒸らす。
- さらにお湯を120g注ぎ入れる。
- パドルを差し込み3~10回ほど粉とお湯を優しく混ぜ合わせる。
- フィルターキャップに専用フィルターをセットし、外筒にしっかりと装着する。
- キャップ上にサーバーを逆さまに被せ、
内筒が抜けないように押さえながら全体をひっくり返す。 - 内筒を押し込み、コーヒーを抽出する。
- 「ジュジュッ」と空気が抜ける音がするまで押し込んだら、
内筒を少し引き上げ本体をサーバーから外す。 - コーヒーをカップに注いで完成!
◆好みの味に調整するには◆
- スッキリしたコーヒーに仕上げたい場合
- 粉の量を減らす
- むらし時間を短くする
- 粉の挽き目を粗くする
- ステップ⑤で混ぜる回数を少なくする
- どっしり濃厚なコーヒーに仕上げたい場合
- 粉の量を増やす
- むらし時間を長くする
- 粉の挽き目を細かくする
- ステップ⑤で混ぜる回数を多くする
- 苦味のあるコーヒーにする場合
- より深煎りのコーヒー豆を使用する
- 酸味のあるコーヒーにする場合
- より浅煎りのコーヒー豆を使用する
【エアロプレスのメリット】
【エアロプレスのデメリット】
【基本レシピ】
【パーツの名前】
エアロプレスの各パーツには独特な名前がついています。
この名前をさらっと言えると「コーヒー通」感を出せます◎
チャンバー、プランジャー、フィルターキャップを組み立てるとこのようになります。
【淹れ方】
内筒が抜けないように押さえながら全体をひっくり返す。
内筒を少し引き上げ本体をサーバーから外す。
※本文では、さらに詳しく淹れ方を解説しています。
※本ページでは「インバート式」と呼ばれる淹れ方を紹介しています。発売元が紹介している淹れ方とは異なりますが、プロの中でもよく使われる淹れ方です。