こんにちは、日本バリスタ協会(JBA)公認バリスタのにっしーです。
おうちでコーヒーを淹れたけど、何だか物足りない。。。
そんな時はもしかしたら、コーヒーの苦味をうまく引き出せていないのかもしれません。
というのも、私も初心者のころ、見よう見まねでコーヒーを淹れたものの、イマイチの味に仕上がってしまうことが多かったんです ^^;
せっかく時間をかけて作ったのに、それだとちょっと残念ですよね。
しかしポイントを押さえて、しっかりと苦みを出せるようになれば、誰でも風味豊かなおいしいコーヒーを淹れられるようになるんですよ。
そこでここでは、日本バリスタ協会認定バリスタのにっしーが、過去の経験と、プロの視点をもとに「雑味を出さずにコーヒーを苦く淹れるコツ」を解説していきますので、ぜひ参考にしてみてくださいね◎
では、さっそく始めましょう!
目次
苦味が出てくるタイミング
まずは、ドリップコーヒーの基礎知識を1つだけ確認しておきたいと思います。
コーヒーの味はおもに「酸味」と「苦味」で構成されているんですが、それぞれの味には出てくるタイミングがあるんです。
下のイメージ図を見てみましょう。
横の向きがお湯を注ぎ始めてからの時間、縦の向きが味の出る量を表しています。
まずは緑色の「酸味」の線に注目してみましょう。
「酸味」は最初にたくさん出て、後半に進むにつれて量が少なくなっていますね。
では次に茶色の「苦味」の線に注目してみましょう。
逆に「苦味」は最初にちょっとしか出ませんが、後半になるとたくさん抽出されます。
このようにコーヒーの味には、「よく出るタイミング」があることがお分かりいただけたでしょうか?
つまり、上手に苦味を出すためには、抽出の後半部分にポイントがありそうですよね。
これらを踏まえて次の項目に進んでみましょう!
2種類あるコーヒーの苦味
さて、「苦味は後半に出やすい」とお伝えしましたが、実は、出てくる時間帯によって、さらに2種類の苦味に分けることが出来ます。
グラフに書き込むとこんな感じですね。
苦味がよく出てくる時間帯をさらに前半(①)と後半(②)に分けました。
では、時間帯の違いで苦味にどのような変化が生まれるのでしょうか?
順に解説していきますね。
まず、図中①のエリア、つまり苦味の前半では「おいしい苦味」が出てきます。
これがしっかりと抽出されていると、飲んだ時に心地よいコクと苦味を感じます。
そして次に②のエリア、つまり苦味の後半では「おいしくない苦味」が出てきます。
これがいわゆる『雑味』の正体で、喉がイガイガするような不快な苦味を感じます。
個人的な見解ですが、この「おいしくない苦味」は2分30秒 ~ 3分30秒を超えた辺りから出てきやすいので、抽出時間をこれ以内におさめるようにするといいですよ。
さて、ここまでをまとめると苦味をうまく引き出すポイントが見えてくるんですが、お分かりいただけますか?。
それは、『いかに「おいしい苦味」を抽出しつつ「おいしくない苦味」を出さないか』ということになりますね。
では、次に「おいしい苦味」をどうやって引き出すのか。具体的なコツを見ていきましょう。
おいしい苦味を強くするコツ
「美味しい苦味」を引き出すコツは全部で8つあります。
- 焙煎度は深めを選ぶ
- 粉の量は少し多めに
- 粉の粗さは少し細かめに
- お湯の温度は少し高めに
- お湯の量は少なめに
- お湯を注ぐ時はゆっくりと
- 苦味の強い豆を選ぶ
- 鮮度の良い豆を使う
少し項目が多いですが、順番に解説していきますので一緒に見ていきましょう^^
焙煎度は深めを選ぶ
焙煎度とは、豆の焼き具合のことです。
コーヒーは深煎りにすればするほど、豆の中の苦み成分が増えるので、おいしい苦味を引き出しやすくなります。
具体的な焙煎度で言うとフルシティロースト以上を選ぶとしっかりとした苦みが楽しめますよ。
お店で探すときは、プライスカードなどに焙煎度が書いてあるので、よく探してみてください◎
粉の量は少し多めに
粉の量を多くすると、苦味成分の総量が増えるため、コーヒーの苦みを強くすることが出来ます。
ただし増やしすぎると濃くなりすぎてしまいますので注意が必要です。
試しに粉の量をいつもの1.2倍くらいにしてみると違いが実感できると思いますよ^^
粉の粗さは少し細かめに
粉を細かくすると、味が出やすくなります。
粒が大きいと中心までなかなかお湯が浸透しませんが、小さいと簡単ですよね。
つまり、効率よくコーヒーの成分を抽出できるようになるということです。
しかし、細かくしすぎるとお湯の通りが悪くなり、おいしくない苦味まで出てしまうので注意しましょう。
まずはいつもより1メモリ細かくして様子を見てみるといいですよ◎
お湯の温度は少し高めに
お湯の温度が高いと、コーヒー豆から成分を抽出する力が強くなります。
そのため、コーヒーの苦味を引き出しやすくなるわけです。
ただし、おいしくない苦味も出やすくなるので、上げすぎには要注意ですよ。
約92℃くらいで注ぎ始めるというまく苦味が引き出されやすいです。
お湯の量は少なめに
お湯の量を減らすとその分コーヒーが薄まらず、結果的に苦味の強いコーヒーに仕上がります。
濃厚な一杯を淹れるイメージですね。
ただし少なすぎると、かなり濃くなってしまうので加減が重要です。
まずはお湯の量を1割ほど少なくして様子をみると良いと思います◎
お湯を注ぐ時はゆっくりと
お湯をゆっくり注ぐと、ドリップされるコーヒーもポタポタとゆっくりになります。
そうすると、お湯とコーヒーが触れている時間が長くなり、効率よく抽出することが出来ます。
ただし、ゆっくりにしすぎるとおいしくない苦味が出てくる時間帯に入ってしまうので、ちょうどよいスピートを見つけましょう。
苦味の強い豆を選ぶ
産地によって、豆が持っている苦み成分の量に違いがあります。
つまり、まったく同じ焙煎度でも豆によって苦味の強さが違うわけです。
苦味が強い豆としては、インドネシア産やケニア産、グアテマラ産などが有名で、深煎りにすると豊かなビター感を楽しませてくれますよ。
豆を選ぶときの参考にしてみてください◎
鮮度の良い豆を使う
鮮度が落ちると、風味が抜けて酸化した油のような匂いが出てきます。
そういったマイナス要素があると、せっかくのおいしい苦味も台無しになってしまうので、出来るだけ新鮮な豆を使うようにしましょう。
コーヒーの飲み頃は、焙煎日の3日後~3週間ほどです。(豆の状態で保存した場合)
出来るだけ早めに飲み切ってあげてくださいね^^
苦味を引き出すオススメの抽出方法
それでは最後においしい苦みを引き出すおすすめの淹れ方を紹介していきます。
その名もズバリ『後加水法』です。
文字通り、後からお湯を加える抽出方法で、おいしくない苦味を出来るだけ出したくないときに使います。
この抽出方法のポイントは、少ないお湯で抽出し、おいしくない苦味が出る前にドリップを終わらせることです。
それによって、おいしい苦味だけを抽出した濃厚なコーヒーを作ります。
あとは、お湯を加えて濃度を調節するだけで、苦味が豊かで雑味の無いコーヒーに仕上がります。
では、具体的な手順を見ていきましょう。
[ 基本レシピ ]
- コーヒー:15g(中挽き)
- お湯:130g(90℃)
- 後加水用のお湯:50g(お好みで調整)
[ 淹れ方 ]
- 中挽きにした15gの粉をドリッパーにセットし、沸かしたお湯を90℃まで冷ます。
- サーバーとドリッパーをはかりの上に乗せ、次の手順の[1投目]を注ぐと同時にストップウォッチをスタートする。
- [1投目] 30gのお湯を10秒かけて粉全体に注ぎ、その後30秒待つ。
- [2投目] 50gのお湯を20秒かけて粉の中心に注ぎ、その後15秒落ちるのを待つ。
- [3投目] 50gのお湯を20秒かけて粉の中心に注ぐ。
- お湯が落ちきったらドリッパーを外す。
- コーヒーにお湯を注ぎ、好みの濃さに調整する。
まとめ
今回はドリップコーヒーをおいしく苦くするコツと淹れ方を紹介しました。
最近のコーヒー業界では、「浅煎りで個性的な香りや酸味を楽しみましょう!」という動きが強いですが、やはり苦いコーヒーもおいしいですよね。
このページが、そんなビターコーヒー好きのあなたのお役に立てれば幸いです^^
おわりに、今回のポイントをまとめておきましたので、振り返りにぜひお役立てください!
最後までお読みいただきありがとうございました!
ではまた、別のテーマでお会いしましょう◎
- 中挽きにした15gの粉をドリッパーにセットし、沸かしたお湯を90℃まで冷ます。
- サーバーとドリッパーをはかりの上に乗せ、次の手順の[1投目]を注ぐと同時にストップウォッチをスタートする。
- [1投目] 30gのお湯を10秒かけて粉全体に注ぎ、その後30秒待つ。
- [2投目] 50gのお湯を20秒かけて粉の中心に注ぎ、その後15秒落ちるのを待つ。
- [3投目] 50gのお湯を20秒かけて粉の中心に注ぐ。
- お湯が落ちきったらドリッパーを外す。
- コーヒーにお湯を注ぎ、好みの濃さに調整する。